医療技術の進展には著しいものがあり、十年前には思いもつかなかったような技術が開発されて、臨床応用できるレベルにまで引き上げられてきています。
遺伝子検査や再生医療を中心として次々に新しい医療技術が生まれてきており、その開発が画期的なものであると新聞やニュースにも取り上げられて、その意義が一般の人にも伝えられるようになりました。
一般の人の医療に対する興味関心も高まっていることから、その需要に応えるようにして医療にまつわる報道が行われるようになっています。
そういった場面で紹介される高度先進医療に興味を抱き、医師として医療業界で働きたいという人も多いでしょう。
そして、治療が無理だと思っていた自分の持っている疾患を治す方法が登場したかもしれないと考えて、医療機関を訪れる患者もいます。
高度先進医療が世の中に知らしめられるということは、普段医療に従事していない一般の人にこういった大きな影響を及ぼすのです。
しかし、一般の人は一つ認識が欠けている部分があることに注意が必要です。
高度先進医療はその有用性が高いと期待される医療技術でありながら、保険診療ではありません。
その理由は、誰にでも適用可能な技術として確立されていないからです。
まだ実施例も少なく、術式も試行錯誤な部分が多いのが実情である場合も多く、その長期的な影響についても研究が不十分であることは多々あります。
新しくて期待が持てる技術であることは確かですが、新しいがゆえに知見が少ないというリスクも秘めているものだという認識が大切なのです。